都営バス最長路線に乗る〜花小金井
西武新宿線の花小金井駅から青梅まで都営バスの最長路線が走っている。
田無発だった頃に一回だけ乗ったことがあるから20年以上経っているはずだが、平成の最初の頃だか、昭和の終わり頃だかは記憶の彼方でよく思い出せない。
ゴールデンウィーク中の4月30日、西武新宿線の花小金井駅に行く。
花小金井駅はホームがやたら広い。
2本あったホームの真ん中の線路を無くして、1本にまとめて広くしたからだそうだ。
【昔は春先はツバメが巣を作っていた。今は知らんけど】
花小金井の駅前は今はバスロータリーがあるが、昔は駅前の一部分の道がちょっとだけ広くなっていて、駅の横にバスの車庫があった。
【駅前ロータリーを橋上駅舎から見る】
ほぼ駅前にあった拓大一高が移転したので、駅前の様子はだいぶ変わった。
いなげやができているが、駅前にはサンクスやモスバーガー、牛丼屋(松屋か吉野家)、ちょっと離れた所にファーストキッチンがあった。
某プロ野球選手の母親が働いていたという立ち食いそば屋もあった。
しかし、それらは全部無くなってしまった。
何故、こんなことを知っているかというと、花小金井に住んでいたことがあるからだ。
だから、その時の記憶と全然違う今の様子に違和感を感じているのだ。
それでも、今の駅前になってから1回来ているので違和感はまだ薄いが、あのスレート屋根の駅舎が懐かしい。
当時は改札を抜けて跨線橋を渡ってホームに向かっていた。
その跨線橋の下にトイレがあった。
あの小さな駅舎とは打って変わって大きく立派な駅舎になったけど、あの小さな駅舎が西武線の郊外の駅っぽくて良かった。
雑然としていたけれど、賑やかな高校生達で活気のあった駅前が、旧住民の高齢化と移転して来た若いファミリー層で微妙に雰囲気が変わっている。
青梅車庫行きのバス乗り場は、いなげやのまえの2番乗り場で、同じ2番乗り場の西武バスの吉祥寺行きと間違えやすい。
同じ2番でも都営バスと西武バスそれぞれのバス停が1〜2mの間隔で立っている。
バス停の表示と足下の行き先表示に従って並ばないと、吉祥寺行きに並んでしまうかもしれないので注意が必要だ。
10時48分発の青梅車庫行きに乗るために少し早めに着くと、一番乗りになった。
吉祥寺行きのバスを見送って、後ろを見ると10人以上並んでいる。
【吉祥寺行きの西武バス】
商店街の入口近くに都営バスが停車しているのが見える。
あれが青梅に行くのだろうと待っていると3分前にやって来た。
【青梅車庫行きの都バス】
定刻に発車したバスは花小金井駅北口から青梅街道に出て、そのまま青梅街道を西進するが、いきなり渋滞にはまる。
西武新宿線、多摩湖サイクリングロード、青梅街道駅と交差する所が特に渋滞しているが、概ね小平市内は素直に車が流れない。
ようやく、西武拝島線の東大和市駅辺りから順調に流れだしてくる。
車窓はだんだんとローカルムードが高まり、山なんか見えてきて、高い建物はどんどん少なくなり、時折り古い農家らしき広い敷地の建物や、新しいアパートや住宅が見えてくる。
東大和から武蔵村山の辺りには以前は青梅街道沿いにメゾネットタイプの都営住宅があったはずだが見当たらない。
おそらく老朽化で解体したのだと思う。
高村薫の「照柿」という小説を読んだ時、夕陽の当たる古びた都営住宅を思い出した。
「照柿」というのは赤味より橙に近い色で小説の中では夕陽の色を表していた。
小説の舞台も青梅、拝島、武蔵村山(多分)周辺だったので、照柿色の夕陽に照らされた都営住宅を思い出したのだが、正確な場所はよくわからない。
しかし、青梅街道沿道だったのは間違いない。
おそらく芋窪周辺だったと思うが、今とは景色が変わっているので何とも言えない。
広い敷地の旧家や農家、比較的新しい住宅や集合住宅といった景色を眺めながら、東大和や武蔵村山を過ぎて瑞穂町に入る。
やがて、箱根ヶ崎駅北側の八高線の踏切を渡ると田無でクロスした新青梅街道と合流して青梅に向かう。
片道一車線だった道も二車線になって広くなる。
ここら辺に来ると郊外型の飲食店やコンビニが増えて来て、都内という雰囲気が薄れて来る。
コンビニの駐車場もやたら広く、各店舗や事業所の敷地も広い。
もはや、都内より山梨寄りなんじゃないかと思うほど、ローカルムードというか観光地的な感じになる。
沿道を眺めていると、GINZA LOVE LOVEなんて看板が見えて来て、何の事業所なんだろうと思っているうちに青梅市内に入る。
だんだんと事業所より飲食店や小売店が多くなって来て、住宅も増えて来ると青梅市内の中心部になる。
いつの間にか車線も一車線に減って、完全に住宅地の中をバスは走っている。
東青梅駅北口を過ぎ青梅線の踏切を渡ると、古い建物が多くなる。
そして、レトロ映画看板を掲げていた周辺に来ると、映画の看板は台風の影響や映画看板師の死去に伴い、ほとんど撤去され一部しか残っていない。
同じ地区にあった「青梅赤塚不二夫会館」も閉館されてしまった。
青梅赤塚不二夫会館が出来た2003年の翌年にこの辺りを訪れた時は、観光客で賑わっていたのが嘘のように、今はひっそりとしている。
この地区を抜けると青梅駅前まではすぐで、一旦青梅駅前ロータリーに入ってから、また青梅街道に戻る。
そして、3分ほどで終点の青梅車庫に到着する。
【終点の青梅車庫】
【全路線動画】
【都営バス最長路線【梅70】花小金井ー青梅車庫車窓風景・2022/04/30】
この時、13時過ぎで花小金井駅から約2時間10分の道のりだった。
本来は12時37分着なので25分くらいの遅延だが、その原因のほとんど(全部かな?)は小平市内の渋滞だ。
それもこれも、小平市内での青梅街道が片側一車線なのが原因だろう。
終点で降りて青梅駅まで引き返すと、駅前に廃墟寸前のビルがある。
駅周辺は道路が狭いから、人の流れも変わってしまったのだろうか?
駅至近の喫茶店ですら営業してない。
【駅前の廃墟風ビルを裏側から。通路の向こうは駅前】
【駅に向かう途中で見つけた森泉人形】
【駅前通りの喫茶店は営業してない】
電車に乗るために青梅駅に入ったら意外に人がいる。
奥多摩に行く観光客と立川方面あるいは以遠に行く地元の人なのか?
電車もそこそこ乗客が乗っている。
滞在わずか30分未満で青梅を後にするのもどうかと思うが、午後1時半現在で周辺の見どころに行くにしてもアクセスが今ひとつだから帰りが遅れる。
それに今夜は、神田神保町の三省堂の地下の放心亭でビールを飲まなければいけないので、青梅特快に乗るのだ。
三省堂の休業、放心亭の廃業まで残り1週間なのでその姿を目に焼き付けておきたい。
その神田神保町まで行くには1時間半はかかる。
急がねばならない。
久々に乗った青梅車庫行きの車窓は、古い建物が少なくなって景色が平凡になった。
都市部から離れた鉄道空白地帯の少し取り残された感があった地域が、多摩都市モノレールの開業や、日産自動車やその関連企業の消滅によって影響を受けたのかもしれない。
もはや、この長距離バスも役目は既に終わっていると言っても過言ではない。
通して乗る乗客は、自分のような変わり者か暇人しかいない。
沿線の各自治体が補助金の見直しをするのも時間の問題で、小平市が打ち切ったら路線の消滅は避けられない。
この路線に乗るとしたら今のうちに乗っておかないと早晩無くなるだろう。
田無発だった頃に一回だけ乗ったことがあるから20年以上経っているはずだが、平成の最初の頃だか、昭和の終わり頃だかは記憶の彼方でよく思い出せない。
ゴールデンウィーク中の4月30日、西武新宿線の花小金井駅に行く。
花小金井駅はホームがやたら広い。
2本あったホームの真ん中の線路を無くして、1本にまとめて広くしたからだそうだ。
【昔は春先はツバメが巣を作っていた。今は知らんけど】
花小金井の駅前は今はバスロータリーがあるが、昔は駅前の一部分の道がちょっとだけ広くなっていて、駅の横にバスの車庫があった。
【駅前ロータリーを橋上駅舎から見る】
ほぼ駅前にあった拓大一高が移転したので、駅前の様子はだいぶ変わった。
いなげやができているが、駅前にはサンクスやモスバーガー、牛丼屋(松屋か吉野家)、ちょっと離れた所にファーストキッチンがあった。
某プロ野球選手の母親が働いていたという立ち食いそば屋もあった。
しかし、それらは全部無くなってしまった。
何故、こんなことを知っているかというと、花小金井に住んでいたことがあるからだ。
だから、その時の記憶と全然違う今の様子に違和感を感じているのだ。
それでも、今の駅前になってから1回来ているので違和感はまだ薄いが、あのスレート屋根の駅舎が懐かしい。
当時は改札を抜けて跨線橋を渡ってホームに向かっていた。
その跨線橋の下にトイレがあった。
あの小さな駅舎とは打って変わって大きく立派な駅舎になったけど、あの小さな駅舎が西武線の郊外の駅っぽくて良かった。
雑然としていたけれど、賑やかな高校生達で活気のあった駅前が、旧住民の高齢化と移転して来た若いファミリー層で微妙に雰囲気が変わっている。
青梅車庫行きのバス乗り場は、いなげやのまえの2番乗り場で、同じ2番乗り場の西武バスの吉祥寺行きと間違えやすい。
同じ2番でも都営バスと西武バスそれぞれのバス停が1〜2mの間隔で立っている。
バス停の表示と足下の行き先表示に従って並ばないと、吉祥寺行きに並んでしまうかもしれないので注意が必要だ。
10時48分発の青梅車庫行きに乗るために少し早めに着くと、一番乗りになった。
吉祥寺行きのバスを見送って、後ろを見ると10人以上並んでいる。
【吉祥寺行きの西武バス】
商店街の入口近くに都営バスが停車しているのが見える。
あれが青梅に行くのだろうと待っていると3分前にやって来た。
【青梅車庫行きの都バス】
定刻に発車したバスは花小金井駅北口から青梅街道に出て、そのまま青梅街道を西進するが、いきなり渋滞にはまる。
西武新宿線、多摩湖サイクリングロード、青梅街道駅と交差する所が特に渋滞しているが、概ね小平市内は素直に車が流れない。
ようやく、西武拝島線の東大和市駅辺りから順調に流れだしてくる。
車窓はだんだんとローカルムードが高まり、山なんか見えてきて、高い建物はどんどん少なくなり、時折り古い農家らしき広い敷地の建物や、新しいアパートや住宅が見えてくる。
東大和から武蔵村山の辺りには以前は青梅街道沿いにメゾネットタイプの都営住宅があったはずだが見当たらない。
おそらく老朽化で解体したのだと思う。
高村薫の「照柿」という小説を読んだ時、夕陽の当たる古びた都営住宅を思い出した。
「照柿」というのは赤味より橙に近い色で小説の中では夕陽の色を表していた。
小説の舞台も青梅、拝島、武蔵村山(多分)周辺だったので、照柿色の夕陽に照らされた都営住宅を思い出したのだが、正確な場所はよくわからない。
しかし、青梅街道沿道だったのは間違いない。
おそらく芋窪周辺だったと思うが、今とは景色が変わっているので何とも言えない。
広い敷地の旧家や農家、比較的新しい住宅や集合住宅といった景色を眺めながら、東大和や武蔵村山を過ぎて瑞穂町に入る。
やがて、箱根ヶ崎駅北側の八高線の踏切を渡ると田無でクロスした新青梅街道と合流して青梅に向かう。
片道一車線だった道も二車線になって広くなる。
ここら辺に来ると郊外型の飲食店やコンビニが増えて来て、都内という雰囲気が薄れて来る。
コンビニの駐車場もやたら広く、各店舗や事業所の敷地も広い。
もはや、都内より山梨寄りなんじゃないかと思うほど、ローカルムードというか観光地的な感じになる。
沿道を眺めていると、GINZA LOVE LOVEなんて看板が見えて来て、何の事業所なんだろうと思っているうちに青梅市内に入る。
だんだんと事業所より飲食店や小売店が多くなって来て、住宅も増えて来ると青梅市内の中心部になる。
いつの間にか車線も一車線に減って、完全に住宅地の中をバスは走っている。
東青梅駅北口を過ぎ青梅線の踏切を渡ると、古い建物が多くなる。
そして、レトロ映画看板を掲げていた周辺に来ると、映画の看板は台風の影響や映画看板師の死去に伴い、ほとんど撤去され一部しか残っていない。
同じ地区にあった「青梅赤塚不二夫会館」も閉館されてしまった。
青梅赤塚不二夫会館が出来た2003年の翌年にこの辺りを訪れた時は、観光客で賑わっていたのが嘘のように、今はひっそりとしている。
この地区を抜けると青梅駅前まではすぐで、一旦青梅駅前ロータリーに入ってから、また青梅街道に戻る。
そして、3分ほどで終点の青梅車庫に到着する。
【終点の青梅車庫】
【全路線動画】
【都営バス最長路線【梅70】花小金井ー青梅車庫車窓風景・2022/04/30】
この時、13時過ぎで花小金井駅から約2時間10分の道のりだった。
本来は12時37分着なので25分くらいの遅延だが、その原因のほとんど(全部かな?)は小平市内の渋滞だ。
それもこれも、小平市内での青梅街道が片側一車線なのが原因だろう。
終点で降りて青梅駅まで引き返すと、駅前に廃墟寸前のビルがある。
駅周辺は道路が狭いから、人の流れも変わってしまったのだろうか?
駅至近の喫茶店ですら営業してない。
【駅前の廃墟風ビルを裏側から。通路の向こうは駅前】
【駅に向かう途中で見つけた森泉人形】
【駅前通りの喫茶店は営業してない】
電車に乗るために青梅駅に入ったら意外に人がいる。
奥多摩に行く観光客と立川方面あるいは以遠に行く地元の人なのか?
電車もそこそこ乗客が乗っている。
滞在わずか30分未満で青梅を後にするのもどうかと思うが、午後1時半現在で周辺の見どころに行くにしてもアクセスが今ひとつだから帰りが遅れる。
それに今夜は、神田神保町の三省堂の地下の放心亭でビールを飲まなければいけないので、青梅特快に乗るのだ。
三省堂の休業、放心亭の廃業まで残り1週間なのでその姿を目に焼き付けておきたい。
その神田神保町まで行くには1時間半はかかる。
急がねばならない。
久々に乗った青梅車庫行きの車窓は、古い建物が少なくなって景色が平凡になった。
都市部から離れた鉄道空白地帯の少し取り残された感があった地域が、多摩都市モノレールの開業や、日産自動車やその関連企業の消滅によって影響を受けたのかもしれない。
もはや、この長距離バスも役目は既に終わっていると言っても過言ではない。
通して乗る乗客は、自分のような変わり者か暇人しかいない。
沿線の各自治体が補助金の見直しをするのも時間の問題で、小平市が打ち切ったら路線の消滅は避けられない。
この路線に乗るとしたら今のうちに乗っておかないと早晩無くなるだろう。
JUGEMテーマ:路線バス
- 2022.05.01 Sunday
- 多摩地区を歩く
- 16:32
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- by ジョニー大倉山